コンビニは心理学の宝庫です
2006/04/30改訂
1999/06/19初稿
心理学というと縁遠くなりますけど
※このコーナーの初稿は1999年6月です。このコーナーを読んだ雑誌やテレビ番組から複数の問い合わせ、取材を受けています。時代背景の変化にあわせて一部修正加筆を行ってあります。
心理学とか催眠術と言うと、堅く考えてしまって敬遠したり、先入観があってなかなか理解できない人がいます。
また、「心理学なんて何に使えるっていうの?」「どうせたいした事はないんでしょ?」などと思う人がいます。
実際には社会に心理学の応用の技術が利用されているケースは沢山あります。例えばですが、お肉屋さん専用ライトとかもありますよ。肉は明るい暖色系(赤い色)を強調したほうが肉が新鮮にみえて売り上げが伸びます。
これなどもマーケティングや心理学者が検証した技術で、すでに一般化した知識ですね。専用の蛍光灯なども商品化されておりどこでも普通に販売されていますよ。人間が圧迫感を受ける天井の高さとかドア、入り口の幅もあります。
商品を陳列する際にもレイアウト一つや照明一つでで売れ行きが異なったりもします。人気のある商品であっても人間の心理に逆らう形で販売を行うと売り上げは落ちるのです。書籍やスーパーの折り込みチラシに至るまで心理学を応用した知識や広告、技術は数多くありますよ。
ただ、その心理学の知識を理解し、実際に売り上げなどに積極的に利用している側はですね、それを一種の「財産」だと考えます。
お肉屋さん専用ライトとか商品パッケージにガス充填(肉の変色が遅くなる)などは消費者が「色彩」に影響を受ける事を販売者側がマーケティングや心理学の常識として知っていなければなりません。ただし、その「商品を売る為の知識」が他の店とかショップ、一般人に浸透してしまうと効果が薄くなるでしょう。
新鮮ではない肉をライティングやガス充填で誤魔化しているとの印象も生みかねません。
その陳列で売れるとしましょう。どこのお店も同じ構成、同じ照明を行いませんか?全てが横並びになってしまう。そうなれば、売り上げはまた横一線ですね。
催眠や心理学を応用した知識や技術は確かに「ある!」のですが、それをうまく使って商売を行っている側はたいてい伏せます(笑)。まあ当然ですね。他人に迂闊にばらまけば価値は下がってしまう。だまーって利用するか、知人や親族、自分のグループ会社でだけ運用したいと望むでしょう。
ですから、心理学を全面に押して「こんな素晴らしい効果があるんだ!」とはいわない場合が多いですね。できれば自分達で独占したほうがいいんですよ。
私が講演会や販売の会議に呼ばれて講師料を頂戴できるのは、それだけ特殊な方法を知っているからです(笑)。これは心理学ろか催眠に限定する話ではなくて、税理士でも行政書士でも労務士でも同じですよ。餅は餅屋。その道のプロとか長く携わってきた者だけが知っていることはある。例えばタクシーの運転手であってもベテランで事故歴がなくて裏道や渋滞情報に詳しい人ならナビゲーションシステムを出し抜けることすらありますよ。
要するに経験を通して得た知識、技術という名の「財産」を持っているからです。
どこにでもあるコンビニ
実例をあげないとわかりにくいと思いますので、一部だけここでお話しましょう。身近にある例としてコンビニに用いられている心理効果について解説してみましょう。
コンビニエンスストア。略してコンビニ。今さら解説するまでもなく、どこの街にもありますよね?
一時は深夜ストアという名称のお店がありました。四国から北陸に至るまで進出していて広島などにも広がりそうな勢いでした。今も幾つかは遺されています。各地に個人営業の24時間ストアもあったのですが、現在ではその殆どがコンビニにとって変わられています。
皆さんは不思議だなととは思いませんか?そういった個人商店や深夜ストアが、別に大手チェーンに必ず入る必要はなかったのです。コンビニがチェーンとして拡大する以前にも個人経営や独自展開するグループもあったのです。ところがその殆どが淘汰されました。
これはね、ただ単に流通や商品供給や資本金の問題だけでなく、コンビニにはその運営の方法などに心理的に様々な工夫が施してあるからなのです。商品の陳列、補給方法、棚の角度や照明、窓の大きさ、漫画本の配置やガムや甘いものの位置までが心理学やマーケティングの基礎によって形作られたものです。
日本においてコンビニエンスストアって概念(形式)での販売や営業が始まったのは、たかだか十数年に過ぎません。私が大阪に暮らし始めた頃、1990年代前半には地方都市にはコンビニってなかったんですよ。フランチャイズで全国展開してゆくためには物流の整備が必要です。そのための交通網やトラック配送システムが整うことで急速な拡大を生みます。
参考までに、大手フランチャイズの1号店が開設した時期
1974年5月 セブンイレブン豊洲店 東京都江東区
1975年6月 ローソン桜塚店 大阪府豊中市
1978年4月 ファミリーマート入曽店 埼玉県狭山市
※コンビニの発展にはしばらくタイムラグがあります。商品を各地に配送する流通システムが発達するまでフランチャイズは首都圏周辺や大都市に限られていました。地方都市は数年間は足踏み状態が続きました。
現在ではあっと言う間に数が増え、全国津々浦々に店鋪は展開しています。
コンビニエンスストアの発足当時、商品自体は決して安くはありませんでした。今でこそ件数も増えて価格も下がっていますが、はっきりいって高かった。近所のスーパーと値段の差を考えればその違いは明らかです。なのに多くの人達、特に若い世代はコンビニに行き、買い物を済ませてしまう場合が多いのです。
これはいったい、なぜなんでしょう?
原型はアメリカから
コンビニには「いつでも営業している」と言う利点があります。ですから便利であると同時に、自分の家から近いというメリットもあります。買いたい時にいつでも訪れることができて最近は品揃えも豊富です。
酒もタバコも雑誌や漫画も、アイスクリームも食べ物もある。ATMすら深夜営業している店舗もありますし、ゲームソフトのネット販売、公共料金の支払いやクレジットカードの使用すらできるようになりましたね。宅急便も郵便も送れる。日本だけの特徴もあります。そういった意味では本当に便利になりました。
初期の頃は何のオプションも付いていませんでしたよ(笑)。もし「いつでも営業している」「深夜でも開いている」ことのみが長所だったとすれば、当然、個人営業のストアにおいてもそれは可能だった筈です。
それがなぜ、現在のようにフランチャイズ、つまり「わざわざフランチャイズ料を上部団体の支払ったり、吸い取られる」システムに多くの店鋪が加入せざるを得なくなったのでしょうか?
元々、コンビニエンスストア、というシステムはアメリカなどで行われている販売方法を変型する形で始まりました。アメリカなどは冷凍食品を大量に買い込む家庭が多く、郊外型の大型店に車で乗りつけますが、日本は小分けする必要が出て来ます。車で一気に大量の商品を買い込む形式では日本の風土や社会に馴染まない。
故、大手スーパーの会長(ダイエーのことです。この文章を書いた当時とは状況が異なり会社更生法を適用、経営再建に入っています)などが、今から30年近く前にアメリカに勉強に行って現地を視察し、自分達の持つ流通のルートを再整備し、「大型スーパー」ではなく「地域に密着した小売店の一つ」として開業を目指そうと考えたことが、この業界を押し上げる力となり、起爆剤となりました。
※この文章が最初に書かれたのは1999年です。コンビニエンスストアの概念を日本に広めた旧ダイエーの中内会長も、そのコンビニの中から宅配便システムを構築したクロネコヤマト会長、小倉昌男氏もすでにお亡くなりになっています。小倉昌男氏には障害者雇用の団体の会合で取材、撮影させていただきました。
コンビニが開業した当時、日本には深夜営業とか年中無休、24時間営業などは皆無でした。幾つか深夜営業を掲げた個人商店や数店で連携してる中小企業があっただけです。
そしてその24時間営業のお店を流通も含めた「心理学、マーケティングの集合体として」捉えてアメリカから持ち帰り、日本の環境にあわせて整備した人達がいた訳ですね。
以前は開いている店がなかった
コンビニを日本で行おうと思ったのは、元々スーパーなどで商品を搬入するルートや設備(トラックや倉庫)などを活かして別の販売網を持とうと考えたのではないかと推測します。
大形店鋪だと開業の場所が限られる上に多額の資金がかかります。バブル期には大店法の規制などもあって大型店舗を都市部に設けるのは難しいという背景もありました。
地価の上昇も考えれば小型店鋪を複数持ち、一定のルートを辿ることで商品の補充や販売を行うならば十分売り上げは見込めます。
イトーヨーカドーやダイエーグループがコンビニ業界において優位に立ったのは大型店舗への輸送網をすでに持っていたからです。クロネコヤマトなどの運送業との連携も行います。結果としてこの後、小売業は徐々にコンビニ中心に転化してゆきます。
現在ある施設(物流用のコンコースやトラックターミナル)に一部、手を加えたり、追加(小型車や小さめのトラック)するだけで済みますから、まったくノウハウのないスタイルで一から始めるよりはやり易かったのでしょうね。
当初は24時間営業でもありませんでした。人件費、防犯の問題も大きかったのですが、流通や補給を24時間体制で行わなければなりませんから、深夜には品物が売り切れになることが主な理由です。
当時、すでに一部地方都市のなどにおいては、「深夜営業のストア」(コンビニという名称ではなかったようですが)という形式で営業が始まっていました。
とはいっても、現在のコンビニなどとは違い、何件かまとめて仕入れを行い、安定して商品の供給を行ったり、仕入れ値を安くして純益の確保を考えたり、チェーン展開をしようとしていただけに留まります。
三十歳を超える皆さんは当時を思い出して下さい。私達が子供の頃、お正月やお盆に開いている店など殆どありませんでした。事前に食料を買い込んでおかないと買い物をする場所すらなかったのです。
子供達がお年玉をもらってすぐにトイザらスなどの店頭に押しかけてゲームソフトを購入するなんてのは、夢のような時代だったのです。今でこそ正月もお盆も土日も開いている店が増えました。ただしそういった状況が整ってきたのは近年になってからであって日本が最初からそうだった訳ではないんですよ。
現在のように「いつでも買い物ができる」ように社会情勢を変えたのは、コンビニなどの影響があったことは否めませんね。
若い世代の方は覚えておいてください。皆さんがコンビニで24時間買い物ができるのは、それを支える物流やインフラ、休日や寝ている時間に働く人々、動いている設備や工場があるからです。
違っていた物
アメリカから持ち帰られた「コンビニ」のシステムには、そういった深夜営業の店鋪とは決定的に違う部分が含まれていました。それが「心理学」を含む営業マニュアルでありノウハウだったのです。
コンビニ各社における運営は、マニュアルによって決められています。
実はそのマニュアル、持ち出しやコピー厳禁だそうです(笑)。テレビ局やマスコミが取材に行っても断られるほどでフランチャイズ加入の折りにマニュアルを外に持ち出したり話したりしないことを誓約させられます。違反するとフランチャイズを取り消されたり違約金が生じます。凄い厚みがあるようですよ。全部を暗記するのは不可能だと思います。
外から店舗を眺めた場合、おかしいとは思いませんか? それぞれが違うコンビニエンスストアのフランチャイズに加入しているのに、見た目には同じような形式の店ばかりがあちこちにまとまって存在することが。
いつ行っても妙に明るい店内で24時間営業、本棚が必ず窓際にあり透明なガラスで外から内部が見える構造になっていると思います。下手すればおでんの置き方まで同じ。入り口の自動ドアや明かり取りの窓、商品の陳列棚の造りにしろ、カウンターの高さや雰囲気も似ているとは思いませんか?壁や床の色も同じ。どんなに違うフランチャイズに加入しようとも、店鋪や内装の雰囲気などは極めて似通っています。
違うのはフランチャイズとして加入各社に支払う金額くらいでしょうか?看板さえかけ変えてしまえば、各社とも殆ど見分けがつきません。
不思議だと思いませんか?
商品の品揃えや独自の品物もありますが、そんなに大きな違いはありません。ファミリーマートにあってセブンイレブンにない物やローソンにしかない物はあまりないのですよ。最近になって各社共差別化を計ったり、他とは違う商品を置こうとしています(CD機や金融商品、ゲームソフトの販売など)が、なかなか難しいでしょう。
少なくとも取り扱う商品が多少違っても、店鋪の形や造り、運営方法は似通っています。
それはね、大本になっている知識が各社とも同じ物だからです。
集光効果
夜、暗い夜道を歩いているとします。すると前のほうに明るい何かがあります。
見るとコンビニが営業しており、歩いている人は、なぜだかそこにフラフラっと吸い込まれるようになります。
これはですね、人間が暗い夜道を歩いていると不安感が増大される傾向があるからです。ある一定の明るさのある場所を発見すると安心するので、ついつい、そちらに引き付けられたりします。
コンビニがどのチェーン店でも同様に「明るい」のは集光効果なども狙って、ルクス(明るさを示す単位)を厳密に決めてあるからです。ですから蛍光灯の設置の位置や本数まで決められています。
現代人からすれば、コンビニはいつでもそこで営業しているという安心感があります。行けば誰かが必ずそこにはいるのです。その上に夜間であれば「中が明るい」という安心感がプラスされます。
面白いんですけどね。深夜に人が集まったり安心するのは集光効果といって、昔から伝わる心理効果の一つでもあるんです。虫が光に集まるのは性質ですが、人間の場合は心理的な不安を解消するために光を求めます。
昔はね「キツネに化かされた」とよく言ったんですよ。
昔話でよくあるのは、道に迷った旅人が暗い夜道を延々と歩いていると、山道の向うのほうに明かりが見えます。ポツンと遠くにみえているその明かりを目指して懸命に歩いて苦労して辿り着くのです。
行って見ると人家があり、そこの住人に一夜の宿を頼みます。
「ヤレヤレ助かった」と思って一晩を過ごし、朝、目が覚めるとそこが廃虚であったり、無人の家であったるするパターンですね。中にはタヌキと朝までどんちゃん騒ぎしていたとか、美女に誘われた鬼婆に殺されそうになった、などのバリエーションがあります。
暗い夜道を歩き、単調な道筋を歩いていると無意識のうちに不安感が増大してしまいます。それが長時間に及ぶと精神に変調を来します。そういった時に明るい光を見ると無条件にそちらに近付いてしまい、安心するのです。
長時間に渡って、真っ暗で単調な道を歩いていると不安感から軽いトランス(催眠)状態になる場合がありますから、星明かりや月明かり、「狐火」や蛍か何かで幻覚を見たのかもしれませんね。
コンビニの話からはちょっと逸れましたが、人が集光効果で「光のある場所」に吸い寄せられる所までは同じです。昔話では、そこに悪人や恐い「山姥」がいたり、旅人が騙されるパターンになるのです。
一般店との違い
また、どのフランチャイズでも道ぞいに面した壁をわざわざガラスに取り替え、雑誌やマンガなどを配置しているのにも理由があります。コンビニに売り上げにおいて、もっとも売り上げが大きいのは、お昼時と夜(夕方から11時前後にかけて)になるのです。
雑誌の立ち読みなどで人が「立っている」とそれは外からでも見えます。つまり、流行っている店であるという印象を与えると同時に、特に夜などは「人が中にいる」ことが見えることで人を安心させる効果があるのです。
壁をガラスに取り替え、その上で雑誌を読むように配置してあるのは、それが通りから中が見えることを意識して作られています。
「中にお客さんがいる」ことが心理的な効果を与えるのです。いわば、「立ち読みするような客」も、お店の看板にしてしまっているのですね。ガラスを多用すれば広くみせられます。
残念ながら個人営業のお店では、そのようなことまでは考えが回りません。
これはファミリーレストランなどでも時々、用いられる方法です。窓際に先にお客を配置することで、流行っている店だ、という先入観を「これから入店しようとする客」に与える効果が期待できるのです。通りに面した外壁をわざわざ掃除の手間がかかって費用の高い1枚ガラスなどを用いるのはそれなりに理由があるんですよ。
知らない個人のお店なら普通の壁にします。工費は大幅に削減出来ますから。
一般店、つまり「24時間営業にすれば客が入る!」とだけ考えて営業を行っていたお店や商店が結局は淘汰(とうた)されて、現在のようなフランチャイズのシステムだけが勝ち残ってきた背景には、そういって「心理効果」を効率良く取り入れてきた背景があります。
流通のルートや商品の確保や保管、補充のシステムだけではなく、心理学の効果を含めた店鋪の設置や店員の応対、それらを全て含めたマニュアルを海外から持ち帰り、日本に合わせて整備、システム化した人達がいたんですよ。
参加する店鋪の数が多くなったことでフランチャイズ加入料などから費用をねん出し、大規模な宣伝広告も可能になりました。それが更に結果を分けたのです。
それらの知識が、時間延長だけを持ち込もうとした個人営業のストアを追いつめることになったのです。
他にもあります
コンビニにはまだまだ、他にも心理効果を狙った物が沢山あります。飾り棚(商品陳列)なども、下に行くほど前に張り出し、角度は緩やかになっています。
これは上から見下ろした際に商品が見やすくなるので、購買意欲をそそる効果を狙っています。同じ角度で棚を作ると下の商品はまったく売れなくなるのです。いわゆるデットストックになってしまうのでスペースが無駄になります。コンビニは商品の入れ換えが激しく、たった数日から数週間で取り扱い停止になる例もあります。
レジを待つ間にも一工夫されています。レジの周辺には甘い物や特価品、ガムや飴などを並べる店鋪も多いです。支払いの時の待ち時間に何かの商品を目にして手に取れば売り上げを押し上げる効果になります。金額的には些細なものに思えるかもしれないですが、メーカーとか全体でみれば相当な数字です。
最近は飲料品もレジ周りでキャンペーンをやったりします。
私がコンビニにおける心理効果を調べるうちにもっとも驚いたのは、来店時に行われる店員の「いらっしゃいませ」という声のかけ方です。
ただ単に入店してもらったお客さまに感謝の子持ちでお礼を言っているのだ、と思っている人も多いと思いますが、実際にはそうではありません。
入ってきた際に「いらっしゃいませ!!」といわれると「自分に注目されている」といった効果を生みます。誰かに注目されている、あなたが「ここにいることは気付かれている」との効果を生みます。
するとね、万引きや強盗などの犯罪の発生率が顕著に減少することが、実験により報告されているのです。
これはマンションなどにおける防犯指導でも行われています。警察署の指導などでも常識ですが、マンションやコミュニティ住人が見ず知らずの人(侵入者)へ「どちらの方ですか?」「どこのお家の方ですか?」などと質問したり挨拶すると、犯罪の抑止に繋がることが報告、確認されています。
壁のあちこちに鏡が貼ってあるのもコンビニの特徴です。店舗内を広くみせる効果と視角を減らして、声かけ運動(挨拶)とを併用することで、万引き防止にも役立ちます。
詳しい理由をまったく知らずただ漠然とマニュアル通りに行っているに過ぎないコンビニの経営者やアルバイトも多いのかも知れないですね(笑)。先にも少し触れましたが、こういった知識が広く広まってしまえば抑止の効果が薄れます。また「お前の店はお客様を泥棒扱いにするのか!」と大騒ぎされても困りますので、マニュアルとして「お客様には一人残らず誰でも挨拶しなさい」とは書きますが、それについての詳しい理由とか背景は書かないのです。
犯罪の防止に役立ったり売り上げの増加に繋がるものはたくさんあるんですよ。
他の仕事にも応用できる
いかがですか?コンビニで使われている心理効果のほんの幾つかの例だけでも、こんなにあるのです。もちろん、スーパーや百貨店などでも様々に心理効果を取り入れ、何年も前から当たり前のように行われている方法も沢山あるのですよ。
宣伝広告やチラシ、インターネットのホームページや動画(CM)などにも当然、含まれています。商品販売とか流行と呼ばれる文化を形成している人達でマーケティングや群集心理、心理効果を狙った色彩や配置についてまったく興味がない、という人はいるはずがありませんよ。
アメリカなどでは選挙戦も心理戦の応酬です。着てゆくスーツとかネクタイまで相手陣営を調べてから決めるようで、双方とも専門家を雇うのです。
商店主とか起業を考える若い方、父親の跡を次いで二代目になろうと考える人などもその辺りについてはよく調べて知っておくべきですね。知っているのと知らないのとでは結果が大きく異なってきます。
私は講演などでそういった話を中心に話を進めています。決まりきった催眠の話ばかり繰返しやっているのではありません(笑)。つまらないでしょ?同業者やお客さんに知られたくないと思って心理効果を全面には押し出さないものの、その効果を知り積極的に取り入れている店鋪や企業は意外に多いのです。
一般のというか普通のストアが同じように24時間営業にしたにも関わらず結局対抗できなかったのは、資金量とか商品流通のシステムを握っていることにも確かに一因はあったのかもしれません。ですが、そればかりではなく「心理効果」などのノウハウを持たなかったことも私は大きな原因だと思います。少なくとも、同じ程度のノウハウを持っていれば幾つかは生き残ったでしょう。
薄暗くて見えにくい店内。雑多に置かれた商品や雑然とした陳列棚。商品の入れ替わりが少ない。お客さんが入ってきても挨拶も行わなければ万引きや犯罪予防も行っていない。鏡やガラスは少なく天井が低かったり歩きにくい通路。そういった店舗が営業時間を延長するだけでは対抗はできないのです。
現在、売り上げに悩んでいる店鋪やこれから何かのフランチャイズに参加しようと考えたり、自分で何かの仕事を起業しよう、と考える人などはそういった部分もよく考えた上で挑戦して下さい。
立地条件がいいのに、売り上げが伸び悩む場合には根本に問題がある場合もあります。ここで解説したコンビニなどの知識は他の仕事でも応用可能ですよ。
私の経験上からの意見
何の仕事においても、私はあまり売り上げで悩んだことがありません。たぶん、心理効果を十分に狙って「根回しをして」から売り上げを作るからでしょう。それには人には教えない方法も含まれます。
もちろん催眠を使って周囲を操っている訳ではありませんけどね(笑)。
あちこちで色々な仕事に携わって大きなお金を動かす人々とは何人もお会いしてきました。年商数十億から数百億くらいの規模の会社なら何度かお付き合いがあったことはあります。
残念ですが倒産したとか失脚した、トラブルになっていなくなった人も大勢います。凄い大きな会社とか実業界の帝王とまで呼ばれた方もいたんですけどね。ここでお名前を出すのは支障がありますので伏せますが、知れば皆さん驚くと思います。絶対に失脚することなどないと思われていた人も含みます。
商売が失敗する人の多くは「性格」の問題です。個人の性格が商売や仕事に影響するんですよ。
心理学の知識とかマーケティングの知識、技術は確かに素晴らしい効果を発揮することがあります。それは私自身がもっとも実感しています。ただし、その価値を理解できない人には何の意味もありません。
先にも少し触れましたが、わざわざマニュアルに「挨拶が万引きや強盗の防止になる」とは書かないものなのです。大切な部分とか流出して困る部分は伏せるんですよ。書きたくたって書けないことや、わざと伏せることだってある。
コンビニにおける挨拶の例にしても、中途半端にマニュアルを聞き齧ったり読んだ程度の人は「たかが挨拶」にそういった深い意味があるとは考えてしませんから、いつしか端折る(はしょる、省略する)ようになります。深く考えることもそれに潜められた理由についても考えることはなく「この程度はいいだろ」と思うのです。
これが「性格」です(笑)。要するに手抜きだし、意味を理解できない。
こういった人に何度「きちんと挨拶はしなさい」とか「手順は守りなさい」と教えても理解できない。噛んで含めて、裏の事情や実験データまで引っ張り出しても理解はできません(笑)。それで実際の被害が少なくなったり効果が現れていても「ただの偶然だろ」と言います。
手に入れた手柄(売り上げとか実績)は自分のもので、失敗は他人の責任に押し付ける。仕事においても恋愛においても時折、いらっしゃいますね(笑)
そういった「性格」の人がマニュアルとか心理学ににすがるのは意味がありません。馬鹿につける薬を探すようなものです。心理効果や視覚効果について意味が理解できない人は最初から手を出さないほうが無難です。
学ぶ時は偏見を捨ててから
愚かな人は、他の誰かの知識とか経験、「情報」に敬意を払いませんよ。全てが無料で教えてもらえると考えますし、簡単に手に入ると思い込みます。そういった人にはどんなに素晴らしい知識や防止法、マニュアルも無駄です。経験とか実験、統計の結果で導かれた素晴らしい解答でも用いる人がいい加減ならば何の役にも立たない。
歴史書でも読んでみてください。三国志にでも日本の武将列伝にでもそのような話は履いて捨てるほどあります。耳が痛い話は聞きませんし修正もしない。自分に都合のいい話だけ抜粋します。
知識とか情報を正しく用いることができるのは、冷静な判断力と洞察力、応用力を持つ人です。マニュアルを眺めてその物まねを行おうとするのではなく、その文章が書かれた経緯や手順の真意を探ろうとする人です。コンビニで「挨拶を」するというその一点だけでも学ぶべき教訓、利用出来る知識や統計、確かな技術がそこには存在します。
私はそう考えてこのホームページを綴り、著書を出し、テキストを作っています。
あと、勘違いしている方に教えておきますが、マニュアルは進化しますよ(笑)。時代背景で変わるものですから。コンビニやファーストフードのマニュアルが異様に分厚くなった背景には訴訟除けの意味もあります。役に立たない記述を削る事になりますし、常に何かを学んで付け加えたり削ったりしなければならない。
私はホームページで追加したり修正を行っています。
お前の持ってる知識を何もかも詳しく教えろ、コンビニの例のように「裏側から」分かり易く教えろと強く言ってくる連中もいますが、ここではっきりとお断りします。
「嫌です」(笑)。
私が苦労して身に付けた技術や知識、広い意味での「経験という名の財産」は、私の全てでもあります。仲のいい友人や家族にはかなり詳しく教えるかもしれませんけどね。そうでない方にはなかなかお教えできません。
知識はその人個人の財産です。学ぶならば節度を持ってください。それとまず偏見を捨ててから望んでください。最初から心理学とかマーケティング、催眠に対して強い偏見や歪みを持っている場合、正確な分析も行えません。そういった人は自らの生活や仕事にうまく取り入れることができなくなるのです。
コンビニなどの知識と同じく知識や技術は一種の財産です。コンビニやファーストフード業界がマニュアルのコピーや再配布を厳しく規制しているのは、それを整えるまでに膨大な時間と費用がかかっているから。賢明な読者は私のホームページや著書、テキストを読んでその裏に存在する意図や真意を読み取ってください。
商売とか経営で失敗する人は経営者の「性格に根差す」と書きましたが、職業においてもっとも恥ずべきなのは偏見です。相手を偏見でみたり、技術や知識に偏った感覚があれば相手から何も学ぶ事が出来ない。時間も費用も無駄になります。どんな技術も知識も、自分に快い部分だけ抜粋して理解するのは意味がありません。
コンビニなどに使われている心理学の知識も、歪める事なく正しく学んで理解してください。
1999年6月19日初稿
2006年04月30日改訂
谷口信行



