どんな人が催眠にはかかり易いのか!?
2006/01/20改訂
2000/04/15初稿
古い、古過ぎる(笑)
マンガとか書籍で時折、催眠について書かれているものを読みます。そこに書かれている記述を読むと「催眠には馬鹿な人や素直な人、単純な人がかかり易い」って書いてある物が結構ありました(笑)。最近は多少は催眠に関する知識、常識が広がったのか、流石にそういったあからさまな記述は減ってきましたが・・・・・・。
以前はその記述を読んで、よく笑ったものです。現実とはあまりにかけ離れているので。
催眠誘導には大きく分けて数種類ありますが、私の考える「催眠」とは、こういった漫画や書籍に書かれている内容とはかなり異なりますね。
例えばですが、コインを糸で吊るして「あなたは、だんだん〜ねむ〜くなる〜」とやっているような形は、催眠とは言いがたいものです(笑)。原始催眠イメージというか、よほど古い感覚、古いスキルの人間が振り回すもので、あんな手法では子供だってかかりませんよ。
ただの遊びです。
観念動作と呼ばれるものですが、被験者が自律神経系のトレーニングを行う場合やラマーズ法を学ぶ際には私も利用することがあります。眼球運動を強化して意識を喪失させるなどは古い形式で、ゲームなどに慣れた若い世代にそういった手法は通じませんよ。笑われるだけです。
言葉、語意、ボキャブラリ
それと「馬鹿であったり、単純である人」は催眠を「言葉でかける」のに苦労します。
従来からの手法の一つであり、今も主流と言っていい「言葉、言語による話しかけ」には利点も多く、暗示の殆どは言葉によって行われてきたのです。ですから催眠を学ぶもの、施術を行うものが避けては通れない道です。語意(言葉の意味)を理解し、ボキャブラリを豊かにし、表現力を磨いて被験者の心の中に入り込む努力をしなければなりません。
ところが、ここで問題が生じます。
語意、ボキャブラリは「施術者側」にだけあるのではなく、被験者側(催眠にかかる側)にもあるんですよ(笑)。意味がわかりますか?
これは初級テキストにも書いた事です。とても重要なことなのですが簡単に読み流す方もいます。テキストを持っている方は心して確認してください。施術を行う、つまり催眠誘導を行っているのは被験者を「連れてゆく」のは施術者側ですが、実際に「連れて行かれる」被験者は、その言葉に「反応しなくてはならない」という弱点があります。
例えばですが、「車を知らない人」にバスが説明できますか?タイヤを知らない人に、乗用車や自転車が理解できますか?(テキストを参照)
要するにテレビを見た事のない人に、「テレビの中に実際に人は入っていない」ことを説得するのは厄介です(笑)。基礎の概念とか理解がない。人間の持つ語意とかボキャブラリは人それぞれで別々ですから、それを理解して始めないと受け付けないのです。
何度も何度もホームページ上でもテキストでも説明しているのに、その程度のことも忘れてしまう人が大勢いるようですね(笑)。催眠に「なぜかからないんだ?」「テキストに書かれている通りの手順でやってるのに」とメールで送り付けてくる人も大勢いました。
本人の意思とも信頼性とも違う
実際にね、あちこちで誘導を行っていると、本人の意思(意思の強さ、催眠を信じているかどうか?)などはまったく催眠に対するかかり易さ(被験性)とは関係ないことがわかります。 「私は信じない!!」とか、「絶対にかからない!!」といい張っている人も大勢いますよ。
面白いというか興味深いのは、自分では一度も催眠にかかった事がない、催眠とは何かを知らない、テレビで何度かみた、漫画でそういったものを読んだ程度で理解したつもりになって、なぜか「自分は大丈夫!」と思い込んでいる人が多い、ということですね。
私は「○○には大丈夫!」と経験もないのに思い込むのは危険ですよ(笑)。事故や事件、詐偽や恋愛、仕事や精神的なトラブルにおいても同様です。自分の近親者や友人に経験者がいたり、詳しい内容を語ってくれる専門家もいないのに、自分勝手に判断するのは過信でしょう。
私の経験上で言えば、頭の回転が早く、語意が豊かで「言葉に」感情が反応する人は比較的誘導が容易です(笑)。要するに一番、厄介なのは「言葉による働きかけ=施術者の暗示や誘導」にまったく反応しない、理解できない被験者なのですよ。
怒るとか泣く、不思議に思う、驚く、という感情を施術者が「ひき出せるかどうか?」が肝心なのです。
一種の頑固さ、とか本人の持つ「複雑さ」が逆に誘導を行う側にはかえって、付け入る隙になります。気をつけてください。これは詐偽などでも同じですが、「私は大丈夫!」と理由もなく思い込んでいる人が、突発的な出来事、例えば電話口で家族(息子や娘を演じる詐偽者)に「事故を起こした!すぐに金が要るんだ!」と泣かれるとうろたえるのです。
一旦、感情をひき出して捕まえてしまえば、ズルズルとそちらに傾いてしまいます。本人の意思ではなく、相手の手順、感情のひき出し方やパターンを知っているかどうかにかかります。施術者側に言い代えれば、その手法を「どれくらい持っているか?」どれくらい「過去の経験、スキルで高めているか?」にかかるのです。
収録などに参加すると面白い
番組の収録とか雑誌の取材等でも相当な数の人達に催眠をかけました。これがまあ、よくかかった(笑)タレントさんやディレクター、プロデューサーに「素直で単純で馬鹿な人」が大勢いますか?いないと思いますよ(笑)。
私はそんな人がいるならば、ぜひ一度、会ってみたいモンだと思います。表面上、そういった演技を行う人はいますよ。タレントさんにとってそれは「お仕事」ですから。バラエティ番組などの収録に参加すればわかりますが、お笑いタレントさんなども、売れている人ほど頭の回転が早く集中力の高い人が多いです。馬鹿なフリを演じているだけです。
雑誌に招かれて催眠をかけに行った時にも、著名な漫画家がいました(笑)。お忍びって奴ですか?私がホームページでファンだと書いた女流漫画家のお友達です。今も番組等でコメンテーターやっています。この方も「催眠などは信じない!」インチキだと思っていて、それを確認するために雑誌社に頼んだのでしょう。
この方も一緒にきたスタッフや他の作家が催眠にかかるのをみて、驚いていました。ひっかかったフリをしてきましたが、そろそろいいでしょう。種明かししておきます。
番組の収録や取材、公演などには二つの側面があります。
お金儲けとか知名度、商売として何かを得る目的も確かにあるのですが、私の場合もう一つの側面、多くの人達と触れて多くの情報を得る、つまり被験者を一気に数多く得る事が出来てデーター収拾や反応を読むこともできるのです。
内容によりけりですが、ランダムに人集めができます。コギャル(?)風の若い人からヤンキー風の若いお兄ちゃん、年配の男性やショービジネスやテレビ番組の世界で成功している人まで、様々な人達に触れ合う機会が得られるんですよ。
これはなかなかの魅力です。抗いがたい誘惑がある(笑)。散々に苦労し、嫌な思いも重ねながらそういったものに参加したのは、自らのスキルを高める意味合いも深かったと思います。
有名なタレントさんに直接、手で触れていい、1回の収録や公演で数百人のデーターが取れるなんてのは、やはり理想に近い。科学とか臨床をやってる、何らかの研究をやっている方なら私の気持ちは理解できると思います。
心理学、催眠を学ぶなら
馬鹿なフリを上手に演じる人が、本当に馬鹿な訳ないでしょう(笑)。面白さを求め、仕事としてそう演じているだけです。相手を見た目や番組キャラクターなどの印象だけでそう捉え、計るのは愚かな人のやることです。
少なくとも、催眠をこれから学ぼうとか心理学の研究者を名乗ろう、商売にそういった知識(心理学やマーケティング)を取り入れてこれから頑張ろうと思っている人のは必要ありません。
芸能関係者のみならず、テレビ関係者や弁護士、医師や検察官(!)でも催眠にはかかりますよ。というかかけた経験はあります。官僚とか、自衛官もあります。驚くほど高学歴で知識レベルや地位の高い人でも誘導は可能です。
かける側、すなわち施術者側が「ビビらなければ」(笑)いわゆる「危ない職業の人」にでも誘導はできますよ。私はヤクザの地位の高い方にもかけたことがある。私はあらゆる職種、あらゆる立場にある人に、何度も催眠誘導を成功させています。
私が実際に、「素直でも馬鹿でも単純にも見えない人の誘導に成功する事実」(多少は、その人を見る人間の主観にもよるものですが)は、一部の漫画や書籍で書かれるような誤ったイメージ、催眠には馬鹿で単純な者がかかるなどの偏見が間違っていることを指し示します。
催眠に関しての正しい知識が浸透するようになれば、そのうち周囲もそういった勘違いに気が付くようになるでしょう。
偏見を持ってはならない
普段の生活において緊張を伴い、高度な駆け引きを必要とするような仕事に従事する人や、地位が高かったり多くの責任を背負ってストレスの多い仕事、常に集中力を高める必要のある人は、息抜きのためにちょっと変わった趣味や息抜きを持つ人も多いですね。
SM趣味の方や幼児プレイをやってます、から始まってクルーザーや飛行機、自動車を高速で走らせる、博打にのめり込む、女装癖がある、裸で散歩するなど様々です。
見た目とか雰囲気だけでわかる訳がない。こういった仕事をやってると驚くことなんて無数にありますよ。
はっきり言いますが人間なんて、そんなモンですよ(笑)。真面目なだけで精神のバランスがとれる筈もない。綺麗で大人しそうで有能な女性、たくましく頼りがいがあって、仕事のできる男性でも多少の歪みやおかしな部分を持ってるのが「普通」です。決められた方向にだけ正確に動いて、一切過ちのない人間なんてロボットと同じですよ。
一緒に居てたのしくもないでしょうし、嬉しくもないでしょう。歪みも過ちもおかしな部分も全て含めてその人の個性、パーソナリティであり、個人なんですよ。
それを「いけないことだ」で括ってしまえば、心理学など成り立たない。強引に「正しい方向に強引に向けよう!」が心理学でも催眠でもなく、その人の中の苦しみや哀しみ、ストレスを解消したり心の闇の部分を開放しよう、お互いがお互いの個性を理解して、生活や個人を保護しよう、トラブルを防止して生活できるようにしよう、が基本だと思います。
時代と共に常識なんて幾らでも変化します。たった数年で人々の常識や価値観がガラッと変わってしまうこともよくある。何かに当てはめて誰かを括ることは無意味です。
多少話が逸れましたが、要するに偏見を持てば持つほど、本質からは遠ざかるんですよ。
自分で何かを学ぼうと思うなら、相手を理解しなければなりません。相手を最初から色眼鏡で見て「この人はこんな人に違いない!」と決めつけるような人は、最初から心理学や催眠、マーケティングの基礎を学ぶのに向かない人です。
催眠をかける場合も同じです。施術を行う前に「この人は無理だ」とか「かからない」と思い込むなら成功率は更に下がるでしょう。
過去の経験からの感想
私個人としては、対人関係を円滑にすすめるために周囲への気配りを行ったり、回りの状況を鋭く読む人のほうが催眠にはかかる、と思いますね。言葉の意味とかこちらの意図、感覚を受け取る能力に長けているので情報の伝達が早いのです。
誰の言葉にも左右される人(自分の意思を持たず、ある意味単純な人)はむしろ、難しいです。催眠そのものがあまり深化しません。これは私も意外でした。ここからは推理、推論に過ぎませんが、色々な人の暗示、言葉に片っ端ひっかかる人はその都度、他の人の言葉に反応しますから誰の言葉でも同じなのではないでしょうか?人生が半分、催眠状態みたいなモンです。
「単純な人や、優柔不断で意思の弱い人が催眠にはかかるんだ」と思い込んでいる人は多いんですけどね。実際には違うように思います。残念ながらそういった人は確かに暗示を「受け付ける」のは早いですが、「解ける」のも早いんですよ(笑)。集中力が続かないのであまり意味がないように思います。
はっきりいえば、「優柔不断でフラフラする人」とか「馬鹿(?)な人」「単純な人」などはあまりしっかりと催眠にはかからないと私は思っています。なぜならば、催眠は言葉で深化させます。ですから言葉に反応しない人や、言葉の意味が正確にわからない人は、催眠誘導は難しくなってしまうのです。
ボキャブラリが豊かで確かな常識を持つ人の場合、回りくどいクドクドとした説明は入りません。いきなり、「たった一言の単語」で、物事の核心をつくことができます。頭がいい、というか、知識や情報が多く詰まっている人のほうが、誘導する側にとっては有利ですし都合がいいんですよ。
催眠によくかかるのは、やたらと頭の回転の良くて機転のきくタイプの人であったり、俳優さんならば強そう(男っぽい)な人(笑)であったり、業界で地位の高い人や、集中力を高め、長いセリフを一気に覚えなければならない人などが多いのです。だからこそ、インパクトがあるのであって、普段とあまり変わらない人なら意味がありません。映像にもショーにもならないと思いますよ。
見た目だけで頭が悪い人とか、素直で単純な人が催眠にかかり易い、とするならば心理学なんて成り立ちませんよ。
見分ける方法が・・・・実は
催眠に「かかりやすいタイプ」を見分ける方法は、実はあります(笑)。
私はタレントさんに催眠をかけに行く時、事前に幾つか質問をしてもらってそれに答える様子をVTRに撮影して送って貰っていますよ。それが全てです。これまでに難しい誘導に成功しているのは、体験から考えたそれなりのノウハウ、手法を利用しているからです。
試行錯誤の末でしたね(笑)。
今になって考えれば一番最初に参加した番組(TBS系)のロケがもっとも過酷でした。番組の予算がない上に無理難題が多い。他の先生方が断ったからこそ、私に依頼が舞い込んだ訳で、私自身に何の実績もない。ですから普通の手法で普通の催眠をやっても話題にもなりゃしませんし、そんなことは誰も望んでいないのです。
結論として路上でいきなり、通り掛かりの人に催眠をかけようになった訳ですが、殆ど超能力の世界(笑)。いかがわしい宗教団体やカルト系が必死に欲しがる知識でしょう。外を通ってる人が催眠にかかるかどうか、番組ネタにできるかどうかが一瞬でわからないといけませんから。
その当時、誘導の成功率をあげようと必死に様々な推論を繰り広げた。実際に放送されたのは一部ですが、膨大な被験者に声をかけています。その全ての人にナンバーをふり、持ち物から話しかけた時の反応、年齢、職業、服装や色、髪形まで詳細に記録しました。
その後、それが習慣というか私の定型になりました。
他の番組でも講演会でも自分が受け持った相談者、友人、知人、過去のデータまでを詳細に分析し記録に残し、後から調べるようになりました。すると、うっすらとみえるものがあります。
ホルモン分泌とかドパーミン比率まで調べてみたい所ですね(笑)。まあ、流石にそれは贅沢な話だとは思いますが。
結局は経験です。経験から得た知識を分析、その上で自らの「能力」を高める。それが誘導の成功の比率、特殊な内容を行う秘訣だと思っています。
催眠を勉強される方は、先入観を持たず正しく勉強されて下さい。
2000年04月15日初稿
2006年01月20日加筆修正、改訂
谷口信行



