催眠術で女性を口説けるのか?
2006/01/24改訂
1997/06/00初稿
勘違いする前に注意を
催眠「術」ができますよ、催眠を生業(なりわい)として仕事としてカウンセリングを行っていると誰かに言った場合、一番多い質問は「女がそれで口説けるのか?」です。漫画やテレビなどで面白おかしく取り上げられるので、そういった感想を持つ人たちも多いのでしょう。
※このコーナーを初稿として載せた1997年当時の感想です。現状は少しづつ催眠現象や利用方法が理解されこういった錯覚は減りつつあります。
私の所に「催眠術を教えてくれ」と尋ねてくる人に、この手のタイプの人が時折います。はじめにいっておきますが、女の子にモテない人が催眠を覚えたら急に女性にモテるようになるか、と言えばそんなことありえません。
見るからに気持ちの悪い印象の人であったり、すごーく気が弱そうで無口であったり、暗い印象であったり何を考えているのかわからない、一種の薄気味悪さや怖さを持っている人であったりする場合、相手が心を開いてくれる訳がありません。
催眠とは相手の心を理解することや開かせる事を中心とする技術であって、無理やり何かを聞き出したり、相手に「強制する」技術ではないのです。
催眠をやっている人にも当然、巧い下手があります。
「私は世界で何番目の催眠術師だ!!」とか「私は素晴らしい技術を持っていて全ての悩み事を解消できる!」などと、自分で煽っている愚かしい人がいますけれど、私はそういった行為を行う人で素晴らしい技術者に出会ったことがありません。
下心があったり高慢で傲慢な人であったりすると、それはその人の表面に覗きます。強引な勧誘や商法が嫌われる由縁でもあります。他人を利用しようとするその下心が、その人の表情や視線、態度を歪ませるのです。
人間の第六感、第一印象や何となく受け取る感覚、女性の直感っていうのは馬鹿にできないものです。時に敏感に感じ取るんですよ(笑)。厭らしい気持ちがあったり、自惚れや傲慢さ、または薄気味悪さがあった場合、それをどんなに隠していても相手に伝わってしまうものなのです。
普段の生活の中でも、自信を持って仕事を進めている男性だったり、相手に対して思いやりがあって優しい男性だったりする場合、本人がカッコつけてわざわざ何も言わなくても、なぜか女性には印象が伝わりモテたりするものなのです。
習い事の基本は皆同じ(笑)
ある意味では女性はそういったことを見抜く天才だったりします。まあ、女性の中には男の持つ自分勝手さや強引さを「男らしさ」と勘違いしたり、気が弱く優柔不断な人を「優しい人だ」と勘違いしている人もいらっしゃいますが....。
催眠を「便利なマニュアル」だと勘違いしてしまって、それで「モテよう!」とか「女性が口説けるに違いない!」と思い込むその感覚が、自分が半人前で他人に相手にされない、女性から毛嫌いされる原因であり理由になります(笑)。
習い事の基本は皆、同じですよ。ピアノやバイオリン、ギターを習おうと同じですし英会話や語学、空手や合気道などでも同じ。「催眠術ができる」からモテるのではなく、何かを習っているからカッコいいのではなく、それをどう使うかどういった用い方をするかです。
語学を習ったことをひけらかしたり、あちこちで自慢げに語れば嫌われるだけでしょう。相手に英会話を強要すれば嫌がられます(笑)。自分を始点に相手に何かを押し付ける行為は迷惑にしかならず、空手を習った者が暴力を振るったり尊大な態度を表情や態度に滲ませれば、尊敬されるどころか敬遠されます。
これから催眠に興味を持ったり覚えようと考える男性のためにあえて一言言うなら、催眠もたくさんある「習いごと」の一つにすぎません。英会話やボクシングを習うのと変わらないのです。
何事も得意げにひけらかしたり、誰かを傷つけたり偉そうに振るうことに使えば当然のように嫌われます。誰かを助けたりTPOをわきまえて上手に用いるならば尊敬されることもある訳ですね。特殊なものであったり、利用者や習得者、習熟者が少ない技術や知識であれば尚更、理解されたり支援されたり喜んで貰えることもある訳です。
実験の話を公開する前にこんな話をわざわざしたのは、催眠が決して特殊な技術ではないことを知ってほしいからです。やる気、覚える気があれば練習しだいで誰でもできるものだと思います。と同時に催眠だけに頼ってモテるようになろうというのは残念ながら、大きな勘違いです(笑)。
要は催眠という技術を自分の得意分野のひとつに加えるかどうか、ここに書かれている実験の結果、知識や応用の技術を自分に加えるかどうかの問題だということです。
実験の話だけを先に書いてしまうと、どうも都合の良い所だけを抜粋して理解する人も多くて笑います(笑)。そんなに簡単じゃないんですよ。被験者(催眠をかける相手)に近寄る手法、相手に警戒心を抱かせない、相手を理解する姿勢こそが心理学の基礎であり、催眠の第一歩なのです。
そこの部分を曲解せず、正しく理解してから読み進んでください。
暗示、実験の内容
※この実験は相手の承諾を得て、参加者全員の許可を事前に得てから行ったものです。適当に行ったものではないことを先に付け加えておきます。
複数の女性の協力を得て、実験を試みました。
協力をして戴いたのは、二十歳から三十五歳までの既婚未婚の女性十数人です。正確なデーターを取るには不十分な参加人数かもしれませんが、一般の方に参加して戴くにはこの辺の数が限界でした。学生の参加希望者もいましたが、未成年者は私の一存で除かせていただきました。
被験者の職業はOL、公務員、主婦、家事手伝い、水商売(アルバイト)など、出来るだけ片寄らないように異なる職種から選んでデーターを取らせていただきました。
実験の内容はきわめてシンプルです。
事前に筆記でアンケートを行い、可倒テスト等で簡単な非暗示性(催眠のかかりやすさ、テキスト参照)を調べ、かかりやすい人を中心に催眠を深くして行きます。
全員を後催眠現象が起こる所まで催眠をかけたら、一旦催眠術を解き、全員の前に一人の男性を紹介します。
女性たちがその男性をみたときの第一印象、表情、反応や言葉使いを観察、一部は録画しました。またその後、女性一人一人に男性を見たときどういった感情が湧いたのかを面談して聞いて、詳しく調査しました。
女性たちにかけた催眠(暗示)の内容については、次の通りです。
1.あなたの前に一人の男性が立っています。その男性がとてもステキに見えます
2.あなたはその男性を自分のものにしたい、と強く感じます
反応の良かった被験者数人を選んで、その人達には更に3と4を追加します。
3.その男性があなたに「二人っきりになりたいな」と言ったら「私も一緒にいたい」と強く感じます
4.一緒にいたいと感じるようになったら「どこにでも一緒に行きます」と相手に告げ、男性と腕を組みます
という、暗示を追加しました。
最後におまけとして
5.彼が「ホテルに行きたい」というと、彼と腕を組んでホテルについて行きます
という所まででお終いです。
事前に解説済み
集まっていただいた女性達(被験者)には事前に暗示の内容をすべて説明しておきました。
正確なデータを得るためとか厳密に考えるなら暗示の内容は話すべきではないでしょう。実験が終わった後に話したのでも十分かもしれません。ただし、この実験を行ったのは(催眠誘導やカウンセリングを行う)初期の頃です。
まだ番組等に出演(初めての出演は1997年8月くらいから)をする以前でしたし、講演等も著作もありませんでした。催眠に関する知識も一般には浸透しておらず、病院や医療関係施設でカウンセリングに催眠誘導を用いる所も少なかったのです。
その状況で被験者に何の説明も行わず、いきなり実験を行うのは無謀でしょう(笑)。誤解や錯覚を招く可能性もあります。仕事としてのキャリアも浅かったのであくまで遊びの一環、催眠現象を体験してもらう意味とホームページ掲載(この頃はまだこのサイトも存在しませんでした)のネタ作りのため、協力者を募ったのです。
無用なトラブルを防止するため、実験の内容を話しておくことは不可欠です。反応がよかった人には「ホテルに行く」という暗示まではやりますよ、という説明はしておきました。
協力して戴いた男性の方は当時三十三歳になる男性。結婚されていて二児のお父さんです。背は高いですが見た目は普通。優しそうではありますが極端にモテるタイプではありません。
こちらの都合でできるだけ、普通(に見える)人を選ばせていただきました。催眠の効果なのか、本人の魅力なのかわからないような人では困りますので、どちらかというと真面目なサラリーマンで遊びが苦手なお父さんといったタイプの人を選びました。
わざわざ言うまでもありませんが、ホテルの入り口までか、ドアの直前までという約束です。どこまでついてくるのかは男性としては興味のあるテーマではありますが、これ以上は犯罪ですね(笑)。実験には本人の同意を得ていても、問題になるのは確実です。
「別にそうなったらそうなったで、構わないわよ」といってニヤリと笑う心優しい(?)というか、度胸満点の女性もいたのですがそれでは全然違うデータの違う収集になってしまいます。
残念ながら諦めました(笑)。そういった内容ではホームページにも公開できなくなりますから。
それぞれの反応、感想
催眠誘導を行い催眠を深化させます。後催眠現象が起こるレベルにまでかかった事を確認してから最後に女性に対して、
1.催眠から目を覚ますと催眠中のことは忘れてしまいます。ですが、必ず私の言った通り男性のことを好きになってしまいます
と告げてから目を覚まさせます。
今になって振り返ってみると、ずいぶんと拙い(つたない)暗示ですね(笑)。表現も下手で被験者の心に対する働きかけも弱い気がします。やはり経験も大事ですね。当時は肝心な内容を把握できていなかったのでしょう。テレビ番組などで行われるショー催眠の手順のようになってしまっています。
今ならばもうちょっと違う手順、言葉を用いると思いますが、この頃はこれで精一杯です。
その後、女性たちを一箇所(違う一室)に集め、
「友人の◯◯さんです」
と紹介した訳です。
ここでとても興味深いのは、実験の内容を全員が知っていることです。前もってわざわざ、「女性が催眠で口説けるのかどうかの実験をしますよ」といって集まっていただいたにも関わらず、私の紹介したAさん(仮にそう呼びます)を何の疑問も持たず、「ステキな人だ」と感じたり言い出す人が続出したことですね(笑)。
彼(後、Aさんと記述)を紹介した途端、目をウルウルさせている人、急に落ち着きがなくなってしまった人、彼に視線をじっと合わせて逸らさない、ちょっと恐い(?)タイプの女性、足を何度も組み替えてあきらかに動揺のみられる女性などです。
中でも面白かったのは、ひとりの女性がAさんに対して話しかけると、他の女性がやきもちを妬くことですね。彼女(達)の頭の中では、「あの人は私のものなのに!」という強い感情がメラメラと燃え上がっていたのでしょう(笑)。
これはこの実験をみての私の個人的な意見ですが、女性にはあまり異性や恋人のことで、競争させるべきではないのかもしれませんね。よく「俺はモテるんだ!!」などと、恋人や奥さんに吹聴する男性がいますが、あまり良い結果を生みそうにありません。
女性はこの人を「好きだ」という感情より、「他の女に取られたくない!!」といった自分でもよくわからない強烈な感情から突飛な行動や過激な行動、衝動に駆られやすいのです。反射的に女性に刺される、なんてことも起こりかねません。
やはり男性には女性の心を思いやってあげる注意と優しさが必要です。
これは複数の被験者を一気に集めたために起こった反応です。これが単独での実験であった場合、ここまでの強い反応は期待できなかったと思います。
女性の「他の女性(同性)に負けたくない!」という意識は、男性が思うよりもっと強烈で強いのかもしれませんね。何よりも強い感情の一つではないでしょうか?
「私の部屋に遊びに来ない?」とか「一緒に飲みに行きましょう」とか、Aさんはしつこいくらい熱心に繰り返し女性に誘われていました。
Aさん(対象者になってくれた男性)にとっては、独身生活以来の久しぶりにモテた瞬間です。このうえなく幸せな瞬間だったと思いきや、後でAさんに感想を尋ねると、楽しい、というよりも、
「すっごく恐かった」
というのが彼の正直な感想だそうです(笑)。
内面に関する答えが多かった
催眠中は自意識が弱まりますので、自分の欲求により「正直」になります。
欲望とか願望がよりストレートに出ますから、表情や視線、雰囲気が独特のものになるんですよ。ですから、女性達の「むき出し」になってしまった感情や欲望に直接、触れてしまうことになります。Aさんは嬉しいとか楽しいとかいう以前に恐怖を感じたのかもしれませんね。
こういったときの女性の感情は一種の集団ヒステリー状態に近いですね・・・・・。見ていた私でさえ少々恐く感じました。ここまで効果があるとは思ってもみませんでしたので、あまりに激しい感情に戸惑ったのです。
収集がつかなくなりそうでしたので、特に反応の激しい女性、嫉妬の表情が激しい三人の方には「後で必ず彼と話す時間を別に作ります」と言い含め、先に別室に下がってもらいました。
表面上はまったくといっていいほど反応のなかった女性と、全体として反応の弱い女性も除きました。全体の上と下を切って反応を平均化した訳ですね。残った人数、約半数の6人だけで実験を続けることにしました。
まず被験者の方々にAさんの印象を尋ねてみました。「カッコよくみえる」 「素敵に感じる」 「優しそうに見える」など意見として多かったのは、外見より内面を差す言葉です。「優しそう」とか「私を理解してくれそう」とか、「暖かな感じ」といった表現が多かった。
Aさんとこの後どうしてみたい、と漠然と尋ねると「つき合ってみたい」「もっと話がしたい」「遊びに行きたい」などが多かったです。ごく少数意見(一人)ですが、「ウチに連れて帰りたい」なんてご意見もありました。
面白いことに反対に男性に催眠をかけて女性を紹介し、どうしてみたい、と尋ねると、「抱きたい」とか、「やりたい」とかいう安易で直接的な返事が圧倒的に多いのです。
女性の場合は直接的な表現を避けます。男性の場合、「やってしまえばいい」といった即物的な感情表現が先に立ち、催眠にかかった場合はよりストレートになりがちです。
催眠中であっても女性が「エッチがしたい」などという直接的な言葉を発することはあまりありません。(例外もあります。下の余談を読んで下さい。)無意識に「恥ずかしい」と感じたり、性的な欲求で「誰とでも関係を持つ女」のように扱われることを避けているのではないでしょうか?
男性の方がより直線的で、ある意味では単純だと考えられなくもありません。
女性も本心や本能では同じなのかもしれませんが、露骨な表現をされることは嫌がります。言葉や態度なども男性はある程度ちゃんとしておかないと、女性は口説けないのかもしれませんよ(笑)。ご注意ください。
※余談になりますが、男女問わず強い被虐僻のある人に過って催眠にかけてしまうと後が大変です。表面の意識、理性や道徳、羞恥心といったものが更に弱まってしまいますから、「あなたの前ならどんなことでも自由に話せる!」とおっしゃって、施術者に付き纏う例があります。
浅はかな男性にはそれを「羨ましい」と思う人もいるでしょうが、事態はそんなに単純ではありません。そういった人の要求は段々とエスカレートし、毎日ひっきりなしに電話が鳴ったり、一日中どこに行っても待ち伏せされるようになります。
刃物を持って追い掛け回したり、車で追突する、家族や仲間に嫌がらせするなどは、実はこのタイプに多いのです。
ご本人からすれば「私の心を始めてわかってくれる人が現われた」と本人は固く信じている訳ですから、普通に知り合ったのとは訳が違います。
はっきりいって、かなり恐いです。困るのは実際には催眠(誘導)にまったくかかっていなくても「自分はかかった」と言い張るタイプもいます。こちらが何も尋ねていなくても、勝手に自分の体験談を話し始めてしまい、制止してもやめません。
あげくに「私の心を弄んだ!」などといって追いかけ廻されることになります。
最近、私は相手の目を見てある程度少し話をすると、そういった傾向を持つ人はなんとなくわかるようになりました(笑)。これも経験の賜物でしょうか?
素人というか経験の浅い人が、そういった人に施術を行うのは危険です。カウンセリングや悩み事の解消なら仕方ありませんが、よくよく注意して行うようにしてください。
私が施術を行う場合には事前のテストの段階で止め、じっくり説明するように配慮しています。
ここからが本番
ここまでで、一旦、実験を打ち切りました。女性を全員別室に集めた上で、一人ずつ個別に部屋に呼び戻します。
私も別室にさがり、部屋にはAさんと被験者の女性だけの二人だけにしてしまいます。後はモニターで監視します。これは私も含めて他人の視線や態度を感じることで、被験者の反応が鈍ることを避けるためです。
Aさんには女性にこう、話かけてもらいました。
1.あなたがとても気に入ったので、この後、二人きりで何処かに行きませんか?
あくまで実験とは関係のないポーズをとってもらいました。相手の女性と出会って、相手が気に入り、実験とは関係なく自然に誘ったという形をとらせていただきました。
その上でこう畳みかけます。
2.できれば、他の人(私も含む)には内緒にして欲しい
実は女性全員にそういっているのですが、他の人にはその質問がわかりません。待ち合わせの場所を何箇所かに分け、時間帯も重ならないように少しずつずらしてしまいます。
女性たちには、「今回の実験はすべて終了しました。本日は解散しましょう」と言って急いで待ち合わせの場所に数人を配置します。待ち伏せして現われる女性の数を数えようという計画です。ここだけは被験者に伏せておいたんですよ(笑)。ここが実験のミソです。
反応の激しかった女性三人についてはAさん自身に待ち合わせをしていただきました。他のポイントは監視だけです。現場に現れた時点で訳を話し、後で集合場所に来て戴きます。後催眠を解かないといけませんので(笑)。
Aさんに全部の女性と同時に会ってもらうのは不可能です。今回の実験の目的は女性が口説けるのか?ということでしたから、いちばん可能性の高そうなポイントから順番に廻っていただくことにしました。
女性が実際に待ち合わせに現われるかどうか少々不安がありました。催眠の厄介なところは、同じ催眠でも個人差が激しく、どの程度までかかっているかは外見からは判別が難しいのです。
また時間がたてばたつほど、効果は薄くなります。「実験はすべて終わった」と私に告げられた時点で、すべてを忘れ、何事もなかったかのように帰ってしまう人も何人かはいらっしゃいました。
どこまでがOK?
結果から先に申し上げれば、実験の成功の比率はまあまあの結果だと思います。十二、三人に暗示を行い、待ち合わせに現われたのは九人でした。
今回は「女性が口説けるか?」の検証実験でしたから、ここからは反応のはっきりと現われた女性三人を中心に反応を観察します。
待ち合わせの場所に現われた女性に対し、Aさんに、
1.これからホテルに行こう...。いい?
と誘っていただきました。要するに実験は終了している、との設定なのです。全て終わって「あなただけと待ち合わせをしている」「あなただけを選んだ」との設定を疑似的に作り出し、待ち合わせに訪れた女性に男性が「僕と関係を持たないか?」と誘っている訳ですね(笑)。
果たしてその反応は?とドキドキしながら見ていると、
「はい」
といって、一人目の女性はAさんと親しげに腕を組んでしまったのです。催眠をかけた私本人にとってもこれはかなりの驚きでした。
次に現われた女性(二人目)も、反応にあまり大差はみられませんでした。少し次の方のほうが、恥ずかしそうにしていただけです。Aさんに促されると黙って後をついて行きました。彼女は普段の生活で腕を組む習慣がないのか、腕を組んだのは一瞬でした。
三番目の女性はもっと強烈です。二番目の女性の方の催眠を解くのに手間取り、Aさんも私も待ち合わせの現場に戻るのが少々遅れたのです。30分近く遅れたでしょうか?最初の方から数えると催眠をかけてから2時間が経過しています。さすがに帰っただろうと、慌てて現場に駆け戻ってみると、ちゃんと彼女は待っていました。
長時間待たされたことに、ムッとしてはいましたが、Aさんが現われ時間に遅れてしまったことを丁重に謝ると機嫌よくホテルに向かおうとしたのです。
かなり驚いた。持続するものなんですね。実験当日はかなり寒かったんですよ。だから余計に驚いたのです。
総合結果
一連の実験の結果は、私にとっても驚きを通り超して衝撃でした。
男性被験者で実験を行った時もそうでしたが、今回も洒落(シャレ)のわかるメンバーではあります。いわば身内や仲間に近い。一般の方を募集しての実験ならまた違った結果が得られたでしょう。「おもしろそうだ」と参加してくれた人たちと、不安感や恐怖心、間違った先入観を催眠に対して持っている人達とでは、結果に大きな違いがあって当り前です。
しかしこの結果は私自身の考えていたものとも大きく違っていました。いざ、ホテルに行こう、というと、催眠が解けてしまったり嫌がる人が出たり、「そんなことは絶対にイヤ!!」といって断る人が続出する筈だったのです。
ただ、よくよく考えてみれば、当り前なのかもしれません。
男性に催眠をかけ、「あの女性がエッチをしようと誘っている」と暗示をかけた場合、抗ったり断る人は殆どいません。驚くほど簡単に誘いに乗ります(笑)。性衝動が強いのか元々、そういった感情が日々の生活では隠されているのかは知りませんが、女性の誘いは断ろうとはしないのです。
男性に催眠をかけると「好み」の部分の枠が広がります(笑)。いわゆる守備範囲が広がるだけなんですよ。年齢層の幅が広がる(例えば、40代50代でも大丈夫)傾向や体形、身長、顔に対するこだわりがなくなったり、受け入れられる範囲が広がるのです。
よほど強固な意思を持っている人か、奥さんや恋人を特別に思っている人でないと止められないのが現状です。過去に実際にあった例では「ウチの嫁さんに悪いからやらない」といって女性の誘いをきっぱり断った男性がいます。
男性がその状況であるのに女性はそうであってはならない、などと漠然と捉えるあたり、私も頭が古いのかもしれませんね(笑)。これは女はそうあって欲しいと願う、男の古い願望のようなものなのかもしれません。
実験の後でAさんがこんなことを言っていました。
「本当にいいの?って、相手の女の子にきくと、なにが?って平気な顔で言われるもんで、頭がパニックになりそうだった」
Aさんには催眠に対する十分な知識がありません。実験の内容を事前に教えられただけです。女性本人が当り前のような顔をしているので、「本当にこれでいいのか?」とか、「このまま本当に二人でどこかに消えてしまおうか?」とか、瞬間、良からぬ事がが頭をよぎったそうです(笑)。
後で全員を集め(ただし本当に帰ってしまった人を除く)て催眠を今度こそ全て解きました。それぞれに、Aさんに誘われた瞬間、どんな感情が湧いたかを話してもらいました。
「嬉しかった」
「やった、きたーってカンジ」
「当り前のように思った」
など、嫌な印象を持った人は一人もいませんでした。
違和感の無さ、疑問を感じない不思議
Aさんに誘われたときに疑問が湧かなかったのか、不思議に思わなかったのか尋ねてみました。
事前に実験内容については話してあるのです。催眠「術」で女性(異性)が口説けるかどうかの実験をします、と告知してあるのです。ですから、Aさんがそのような行動や発言をすることは容易に推測できる筈です。
そこの部分に違和感を感じたり、気がつかないことが不思議なのです。
Aさんが結婚しているのか?とか、彼女はいるのか?とか、勤め先は?とか、通常であれば当り前のように感じる疑問であり質問です。また、自分がなぜAさんが気にいったのか、疑問は湧かなかったのかを詳しく被験者に訊いてみました。
「何も考えが浮かばなかった」
「ごく普通、当り前のように感じた」
「わざわざ、そういったことを聞く必要も無いようにに思った」
最後にAさんにあのままホテルに行こう、と言われたら、そのままついて行って肉体的な関係を持ったかについて、女性陣に答えてもらいました。
1.「持った」もしくは「持ったかもしれない」が、4人
2.ついては行くが関係は「持たない」「直前で断ったと思う」と答えた人が3人
3.「わからない」が一人
4.「全体がぼんやりしてて、会話をよく覚えていない」が一人
という結果に終わりました。
不可能ではないんでしょうけどね(笑)
この実験結果を踏まえ私個人の意見として、催眠を女性を「口説く」ということに限定して使った場合、可能かと問われれば「可能である」と答えるでしょうね。
ただし、そういったことに催眠を使おうと考えた場合、幾つかの大きな問題点があります。
最初にも触れましたが、まず被験者お不信感や恐怖感、催眠に対するイメージ、施術者にいかがわしさやいやらしさ、怪しい雰囲気を被験者が少しでも感じ取った場合、催眠はかかりません。催眠を「かける」以前に話しかける時点から、相手に不信感を持たれます。
「催眠のかけ方」(現在、このコーナーは削除されています。テキストを参照してください)の項でも触れますが、「催眠はラポールに始まってラポールに終わる」といわれるくらい相手との信頼関係が大切です。
催眠を悪用しようと思えば、よほど用意周到にしなければ難しいでしょう。こちらの勝手な思惑が少しでも表情や態度に悪意が見え隠れしていたり、厭らしい下心がのぞいている場合、催眠はすぐ解けてしまうかかかりません。催眠が悪用できない、またはし難いと言われるのはそこに、人間同士の付き合いがあるからです。
他にも問題はあります。
抜群に会話が巧いとか幅広い一般常識とかなりの専門知識を勉強しておかないと、まず女性との会話がなりたちません(笑)。上手に催眠の話にまでもっていけないのです。初対面の女性に「私は催眠術ができるんだ。やってあげよう」などと切り出すと間違いなく変人扱いですよ(笑)。日本においてなら占い師や霊媒師のほうがメジャーでしょうね。
私も武者修行時代、全国各地で催眠誘導の実演、実践を展開しました。講演会や公演に招かれたならいざ知らず、見ず知らずの人達の集まる場所とか、そういったものにまったく触れたことのない人達のいる通常の店舗で催眠を行うのは至難の技ですよ。
音もうるさいですし周囲の注目も浴びます。そこで実演に成功するだけのテクニックと度胸を持っている人はそんなに多くないんですよ。また、女性と静かな場所で二人っきりになる機会があるなら、催眠など用いずにストレートに口説いたほうが早いでしょう(笑)。
学ぶ方はよく考えてくださいね
私自身テレビ番組や雑誌の取材などにも参加することもありましたが、私の出演した番組、収録を「直接見たことのある人」や番組の関係者、出演者でさえ「恐い」と敬遠されたり、「超能力の人ですか?」といわれて苦笑いすることもかなりあります。
信用してもらうまでが一苦労で誤解を解くのがまた一苦労。知り合いになった女性タレントさんやその事務所の方に呼び出されたり、面談しても誤解が解けずに悪く受け取られることもある。現象を理解されても怖がられることも度々、ありましたね(笑)。
一般の方の認識はその程度なのですよ。ですから催眠の一部を聞き齧って自惚れてしまった底の浅い人達のように「催眠、催眠」といくら連呼した所でモテるようになどなりません(笑)。
あまりに暗い人、たとえばオタクっぽくて他人とのコミュニケーションが取れない人や、悪意に満ちた盗用やハッキング(クラック)を繰り返すような人が、「女性にモテたくて催眠を覚えよう!」という場合、はっきりいって無意味だと思います。お金と時間の無駄でしょう。
今どきの女性はそんなに甘くありません。「何この人?私に近寄らないで!!」で終わりです。本人が傷つくだけですよ。
占いを統計学だと考えて学ぶような明晰な人なら、催眠も覚えれば便利なアイテムかもしれません。何かの参考、歴史の教科書や群集心理を学ぶ道具だと考えるなら盲信することはないでしょう。反対に何の努力も行わずにただ何かを拝むような性質の人なら、何を学んでもトラブルは拡大します(笑)。お金払って何度でも騙されるでしょう。
特定の一部分だけ突出している人ではなく、他にも充分魅力をや能力、特技を持っている方が正確にsん理学や催眠などの技術を覚えた場合、かなりの範囲で使い道はあります。
私は女性(女性ならば男性、気になる相手)に「催眠をかけて操ろう!」には賛成しませんよ(笑)。それは誤りです。私の催眠に関する技術や知識は相当高いと思います。だからといって私は自分の付き合う女性を催眠で操って付き合ってきたり、一方的にいいなりにすることはやってませんよ。それは私の望む所ではありません。
騙されたり、嘘をつかれたり苦い経験はたくさんあります。私がそうなんですから(笑)。そういったものには使えないと考えてください。
かといって催眠を学んだ事は無駄ではない。なぜなら催眠をかけるテクニック、心理障壁を除いたり相手の心に入り込むテクニックには応用できるものが多数あるからです。催眠を学ぶ過程で避けては通れない勉強があり、それが今後の恋愛や人付き合い、得意先との交渉、顧客への対応や育児、学校の勉強に活きるからです。
催眠を覚えたい、または習いたいと考えている人や、これから心理学について学びたい、私に誘導をやって欲しい、テキストを買いたいと思う人はこのコーナーやホームページに書かれていることをよく読み、十分に参考にしてください。
PS.
余談になりますが、実験に協力してくれた真面目なAさんは後でこう言い出しました。
「ぜひ、催眠を教えてくれ!! 俺も絶対覚える!!」
協力してくれたお礼にテキストを差し上げましたが、できるようになった、との噂は聞きませんね(笑)。たぶん、挫折したのではないか?と思います。
千里の道も一歩から。催眠(広い意味では心理学)の応用、そういったものを利用したテクニックや社会の中に多数存在します。
ご自身の興味のある部分から始めるのが一番ですよ(笑)。当初は浅はかであったり興味本位であっても深く学ぶうちに真理に触れ、理解が深まって意味や価値がわかってくることもあります。面白い部分から始めて諦めない事、じっくり取り組む姿勢が肝心です。
※このコーナーの初稿は1997年私が開業当初に書いた内容です。ホームページ開設当初、一般の方々にも催眠に興味を持ってもらいたいと多少、遊びの部分も含めて実験を行いました。
このコーナーを読んだマスコミ関係者から番組などに招かれるようになった、というおまけ付き(笑)。「ホームページに書かれていることは本当ですか?」「そのまま番組でやれますか?」とメールを貰ったのがきっかけです。6月頃に載せて8月頃に出演。この実験を行ったのは1997年2月です。
ネットの凄さ、不思議さを思い知ったのがこのコーナーでしたね。
2006年01月24日加筆修正、改訂
谷口信行



